Tanaka-Ohzeki Research Group

研究活動の概要

Physics + Information Processing = Intelligent computation

 コンピュータがデータからその背後にある関係性を読み解き、法則性を学習することで、 未来の予言を行う「機械学習」、これはいわば現代の魔法の鏡です。

 当研究室では、その現代の魔法を誰もが使えるようになることを目標としています。 例えば「深層学習」。非常に高度なタスクを自動的に行うことができるようになった一方で、 なぜそのようなことが実行できるようになったのでしょうか。学習の本質を見極める冒険的研究を行います。

 深層学習の実行には、質の良い大量のデータを必要とします。 しかし現実にはそんな都合よくデータが集められることはありません。 そこで少ない情報からであっても本質部分を見極める技術である「スパースモデリング」を推進しています。 この新しい情報処理技術を駆使して、データを取得するための実験や計測の効率を最大化します。

Sparse Modeling for Face Recognition

スパースモデリングを用いた顔認識

 これらの技術を下支えしているのが「最適化問題」と呼ばれる数理的課題です。 この最適化問題は様々な場面に登場します。そこで世界各国で効率よく最適化問題を解く専用の計算技術の開発競争が始まっています。 当研究室では「量子アニーリング」に代表される物理的プロセスを利用した計算技術を推進しています。

 量子アニーリングは量子効果を用いた最適化手法の一つです。 量子効果のおかげで量子アニーリングは、いくつかの問題において、従来の最適化手法よりも高速に最適解を見つけることができます。 しかしながら、量子アニーリングでは効率よく解けない最適化問題も多く存在します。 私たちはこれらの最適化問題を効率よく解くための手法を開発するため、 情報科学の分野で発展した手法を駆使して量子アニーリングの性能向上をめざしています。

シミュレーティッドアニーリング (SA) のシミュレーション。SA は確率過程を用いてコスト関数の最小値を探索する。

量子アニーリングのシミュレーション。解の候補の確率分布が最適解へと徐々に局在化する。

 大量のデータを効率的に扱う手法の開発もまた重要な課題の一つです。 我々が普段目にする画像・音声・文章等のデータは、それぞれの要素がいい加減に並んでいるのではなく、 互いに関係性のある要素同士が集まることで初めて意味のあるデータとなります。 そのため、4K・8K画像等の巨大なデータを効率良く処理するためには、データに内在するこの関係性をいかに上手く扱うかが重要になります。 当研究室では、データに内在する関係性をグラフ構造で表わすことで巨大データを効率良く扱うモデリング技術であるグラフィカルモデルの研究を行っています。 グラフィカルモデルの考え方をベースに、ベイズ統計学・統計的機械学習等の最新の技術を使って、効果的なデータ処理システムの開発を進めています。

Probabilistic Image Processing by Belief Propagation

Belief Propagation を用いた確率的画像処理

Probabilistic Image Inpainting

確率的画像修復

 これら学術的な研究成果をもとに、多数のプロジェクトや企業との共同研究を通して広く社会に還元することで、世界を変えていきます。

参考文献

大関真之 著 (2016)「機械学習入門 ボルツマン機械学習から深層学習まで 」 オーム社

西森秀稔・大関真之 著 (2016)「量子コンピュータが人工知能を加速する」 日経BP社

大関真之 著 (2017)「先生、それって「量子」の仕業ですか?」 小学館